厚生労働省は,緩徐進行性,かつ歩行低下を来す神経・筋疾患8疾患に対するロボット治療機器「HAL®(Hybrid Assistive Limb®)医療用下肢タイプ」を承認したと発表した。同機器による治療の対象となる疾患と指定難病認定患者数は①脊髄性筋萎縮症(SMA,712人)②球脊髄性筋萎縮症(SBMA,916人)③筋萎縮性側索硬化症(ALS,9,096人)④シャルコー・マリー・トゥース病(CMT,6,250人)⑤遠位型ミオパチー(400人)⑥封入体筋炎(IBM,1,000人)⑦先天性ミオパチー(1,000人)⑧筋ジストロフィー(2万5,400人)。これらのいずれかと診断され,歩行の介助あるいは歩行補助具を要し,同機器を装着できる患者が対象となる。
同機器を開発したCYBERDYNE社によると,同機器はヒトの脳からの「動かしたい」という動作意思を反映する皮膚表面の生体電位信号を読み取り動作補助を行うことで,同機器とヒトの中枢系・末梢系の間にインタラクティブなバイオフィードバックを形成し,中枢系と末梢系の機能改善を促進させるとの仮説(iBF仮説)に基づき生み出された。このような機序を持つロボット治療機器は世界初で,EU内では医療機器としての認証を取得。ドイツでは既に公的な労災保険の適用が認められている。同社公式サイトでは,雪下ろしの最中に高所から落下した胸椎損傷患者が同機器によるリハビリテーションの結果,ベースラインからの10m歩行速度の改善が見られた他,同機器を使用せずに歩行器で1km以上歩けるようになったことが紹介されている。
今回,日本での承認の根拠とされたのは内閣府の最先端研究開発支援プログラム(FIRST)での臨床研究や厚生労働省科学研究費補助金「難治性疾患実用化研究事業」での医師主導治験などで有意な機能改善効果や安全性が認められた点。希少疾病用医療機器として優先審査の対象となっていた。
同社は今後,同機器を用いた治療への保険適用に関連する手続きを行う他,HTLV-1関連脊髄症(HAM)をはじめとする脊髄疾患への治験が進行中で,適応拡大を目指す意向を示している。
https://www.youtube.com/watch?v=O0oowPvxVxMと、ありました。もしかしたら、高齢で筋力が低下して歩けなくなった人にも応用が効くのではないかと思います。人は歩けないと様々な能力が低下してゆきます。今後応用できる範囲が広げられるなら、是非広げていってもらいたい装置ですね。
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